制限的絶対性(Restrictive Absolute): Sedelmayer判決においてスウェーデン最高裁が採用した制限的自治に関するリベラルな基準と絶対免除を合致させるための当事者自治の利用
pages 61 - 80
ABSTRACT:

スウェーデン最高裁は、Sedelmayerケースにおいて、主権国家に対する執行手続における制限的免除を最終的に承認したことを認めた。スウェーデン最高裁が呈示した論理的根拠では、制限的国家免除は国際慣習法として普遍的に受け入れられていると示唆するに至ったが、その見解は香港最高裁がFG Hemisphere Associatesの絶対的主権免除を支持する判決を下した際に間もなく棄却された。香港での判決とは対照的に、スウェーデンのSedelmayer判決は、執行が求められている財産が「公的目的」のみに用いられていることを証明する責任を国家にもたせるという、非常にリベラルな営利的例外を組み入れている。 スウェーデンのSedelmayer判決は、次の点において特筆に値する。まず、(1) 国連国家免除条約が批准されていないにもかかわらず、同条約に信をおいている点、次に、(2) 「利用と利用目的」が、執行手続の時間との関係で排他的に決定されという一時的な関連性を設定している点である。これらの異なる判決に照らして、本稿では、国家免除の絶対免除主義と制限的免除主義の間の緊張関係は現実に存在することを演繹的に推論してゆく。本稿は、国連条約がこのような紛争の調停に用いられるようになるまでの間、当事者自治を利用することを今後の紛争解決の代替策として提案し、国際法典内の国家免除に関するずれを検討することにより、二国間投資協定(BIT)が、商業活動の範囲に関する当事者の意図を明確化し、呈示するための理想的なメカニズムであると締めくくっている。

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about the authors

Stockholm Arbitration & Litigation Center (SALC) 法律事務所アソシエート。米国で司法修習を受け、ニューヨーク州弁護士資格を有する。ストックホルム大学国際商事仲裁法学修士号(LL.M.)取得。

E-mail: cornel.marian@salc.se

ストックホルム初の訴訟・紛争解決専門の弁護士事務所Stockholm Arbitration & Litigation Center (SALC) 法律事務所マネージングパートナー。SALC社員は、スウェーデン国内外で法廷弁護士および仲裁人として活躍している。

E-mail: dan.engstrom@salc.se