仲裁人の責任と独立
pages 149 - 169
ABSTRACT:

本稿は、民事責任および刑事責任、裁判管轄理論、契約理論、ハイブリッド理論および自治理論から派生する責任など、異なる見方から見た仲裁人の責任の根拠について説明するものである。免責を認め、責任を志向する裁判管轄権に基づき仲裁人が有する明白な義務、また、技術的立場およびコモンローや大陸法諸国の異なる立場から見た仲裁人の責任の種類が説明されている。コモンロー諸国は、絶対的準司法免除(absolute quasijudicial indemnity)に偏る傾向にあり、大陸法諸国は異なる責任の度合いを適用している。様々な裁判管轄地から引用された裁判所の判決では、当該裁判管轄地の一般的なアプローチと比較して、仲裁人が負う可能性のある責任と免除に関する異なる見方が示されている。しかし、結論では、この問題は、世界全体で適用されている一般的なアプローチの存在しない国際仲裁という分野では議論の的となっていることを認め、このことは、基本原則に関する国際的な理解や、少なくともより広範な議論を始めるべきか否かという疑問を呼び起こすが、一般的に認められているいくつかの基本ルールについて合意した何らかの国際条約のようなものが形成されることが望ましいとしている。

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about the authors

両法博士(JuDr.)、法学博士(Ph.D.)。ROWAN LEGAL法律事務所パートナー。ICT法、アウトソーシング、ICT紛争解決およびサイバーセキュリティの専門家として知られる。これまでに多数の著書を発表し、国際会議でも講演・発表を行っているほか、プラハ経済大学、チェコ・ブルノ市マサリク大学およびブラティスラバのパン・ヨーロピアン大学を初めとする諸大学で定期的に講義も行う。専門的なICTおよび知的財産案件など、国内および国際的な仲裁紛争において現役仲裁員として活躍中。プラハ、ジュネーブ、チューリッヒ、ハーグ、ロンドンにおける仲裁案件においてクライアントの代理人を務めている。

E-mail: maisner@rowanlegal.com