仲裁人の自治—「衡平と善(ex aequo et bono)」に基づく意思決定
pages 253 - 275
ABSTRACT:

仲裁は、通常の訴訟では実現不可能な可能性を提供するものである。伝統的に仲裁は、より柔軟な意思決定プロセスと関連していた。このプロセスでは、当事者が仲裁人の意思決定に関わる領域により多くの影響を与える機会を有している。「衡平と善」の原則とこれに類似した原則に即した紛争解決については、依然として謎のままである。この研究は、仲裁人が不文律の衡平原則に基づいて紛争を解決する権限を与えられている限りにおいて、衡平概念の上に築かれたこれらの特別な原則に注目している。本稿は、これらの原則に従った紛争解決の可能性について、スロバキアおよびチェコ両国の法制度と、いくつかの国際条約の観点から分析する。衡平原則に基づく紛争解決には、明確に定義された基準がない。なぜなら、ここで用いられる衡平という法的概念の解釈は、矛盾することが多いからである。著者は、このテーマについてこれまでに発表された興味深い意見を一部記録し、最後にこれらを利用してこの現象を一部明らかにすることを試みている。

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about the authors

法務博士(JUDr.)。パヴォル・ヨゼフ・シャファーリク大学法学部商法・経済法講座リサーチアソシエイト(スロバキア共和国コシツェ市)。2009年に論文Arbitration procedures in commercial matters – the current state and proposals for future legal development(商事仲裁手続~現状と今後の法的整備に向けた提案)の口述試験を受け、博士研究を修了。博士研究修了後も、仲裁の領域における問題並びにより一般的な状況における裁判外紛争解決について研究を継続している。助成金プロジェクト「スロバキアにおける裁判外(代替的)紛争解決」の運営を担当。

法務博士(JUDr.)。商法分野の権威。学術論文や研究論文多数。スロバキア初の総合的な商法の教科書の共著者。チェコ学術アカデミー(プラハ)国家法律研究所学術委員会委員。スロバキア商工会議所付属仲裁裁判所、チェコ経済会議所・農業会議所付属仲裁裁判所の仲裁人名簿に掲載されている国際仲裁人。現在、スロバキア研究開発機関(APVV)の助成金プロジェクトのプロジェクトマネージャーを務める。同プロジェクトは、スロバキアにおける裁判外紛争解決の問題を扱っている(LPP-0076-09-スロバキアにおける裁判外/代替的紛争解決)。